会長メッセージ
MESSAGE
株式会社清水住建工業 代表取締役
清水 康弘
一歩を踏み出す
戦後間もない1946年に清水家具屋として創業し、父から三代目として事業を承継しました。社長に就任した当初、私が真っ先に抱いた感情は“不安”でした。
実務は分かっていても、経営のことは何も分かりませんでした。何から始めればいいのかも分からず、損益計算書や貸借対照表の数字を見ても、それが良いのか悪いのかすら分からない。漠然と悪くなっているような気がしていても、何が原因なのかが分からない。
「何か新しい手を打たなければ」と考え、思いつくままに様々な新しい施策を行ってみましたが、先代の社長である父に付いてきた社員たちには否定されてしまってばかり。お客様の多くも、先代が築き上げてきた関係ばかりであり、自分の代からの顧客はほとんどいませんでした。
ですが、「会社をもっと良くしたい」という想いだけは強く持っていました。 これまで三代に渡って経営を続けてこられたのは、当時の社員とお客様に助けられてきたからだ。 「自分の使命は、その恩義をお返しすること」 そう考え、四苦八苦している中、東信経営研究会と出会いました。
経営研究会に入会してから、多くの経営者とお話をする機会が増えました。その中で、「自社が債務超過であること」「経営者はみんな悩んでいること」に気付かされながら、経営のセミナーにも積極的に参加しました。
経営者の方々の話を聞く中で、私は「自社のことばかり考えていた」ことに気付かされました。何となく「既存客が離れていく」と感じていましたが、原因はこれだと気付き、「新規営業を止めて既存のお客様の満足度を上げる」方向に経営をシフトしようと考えました。
社員にもすぐにその方針を伝えましたが、当初はその考えを全否定されました。それでも、経営研究会で学んだ「やってみなければ分からない。失敗したら変えればいい」という考え方に基づいて、社内の反対意見を押し切って進めました。その結果、徐々に既存のお客様の満足度が上がり、紹介によって新規のお客様が増え、適正価格での提案ができるようになりました。
さらに、経営研究会には「自社の経営計画を策定し、会員経営者に発表する」という活動がありました。自社の将来を計画し、発表している経営者たちを見て、自社にはこれが必要だと感じました。そして、「債務超過を3年後に解消する」という目標を掲げ、経営計画を見よう見まねで作成し、発表しました。
そして、自社でも社員に対して経営計画を発表するようにしました。最初の3年間くらいは、社員にはあまり響いていないように感じましたが、毎年継続する中で徐々に効果を感じるようになりました。
今では債務超過も解消し、社員と一緒にビジョンを考え、部門目標や個人目標を立てるなど、社員を巻き込みながら経営計画を立てられるようになりました。
振り返ってみると、私の転機は、東信経営研究会に入会したときでした。会社をもっと良くしたいと考え、業績を上げている良い経営者たちのそばで、経営を学べる環境に自らの身を置いたことが、私自身の変化のきっかけだったと感じています。
会社の業務に追われながらも、時間を割いて経営研究会の活動に参加し続け、毎年経営計画の発表もやり続けてきました。そんな一つのことをやり続けるという経験から、自社でも高い目標を掲げ、諦めずに社員と共に努力してきた結果が、今の業績に繋がっていると確信しています。
不安でも、やってみなければ分からない。失敗したら、変えればいい。今を変えるためには、腹を括って勇気を持ち、一歩踏み出すことが大切だと私は考えています。
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